医療機器業界の勢力図が激変?! 国内市場の今後の動向と展望を読み解く

更新日:2025年03月21日

日本の医療は世界トップレベルと評されますが、それを支える医療機器の多くが輸入品であるという現実をご存じでしょうか。高い技術力を誇る国内医療機器メーカーが、なぜ国内市場で苦戦を強いられているのか。その背景には、日本特有の複雑な規制や流通構造に加え、グローバルな国際環境が大きく影響しています。今回はデータと事例に基づいた分析を通じ、医療機器業界の今と未来を明らかにしていきます。

医療機器業界の市場規模と国内市場の動向

世界の医療機器市場は、2024年には6,370億米ドルを超える規模に達し、今後も成長が見込まれています。一方、厚生労働省(厚労省)の「令和5年薬事工業生産動態統計年報」によると、2023年の日本国内の医療機器市場の生産金額は約2兆6,600億円と、世界的に見ても大きな規模です。ここからは、世界と日本の医療機器市場の規模を比較して、現状をみていきましょう。グローバル市場における日本企業のシェア、そして国内市場の輸入状況について詳しく解説し、浮かび上がる課題をお伝えします。

医療機器グローバル市場における日本のシェア

経済産業省の「医療機器産業ビジョン2024」によると、世界の医療機器市場における国別のシェアは、米国が圧倒的な存在感を示しています。2023年には、米国が約47%と、世界市場のほぼ半分を占めるに至っています。

※経済産業省『医療機器産業ビジョン 2024』を元に株式会社グリーンメディカルが作成

上記グラフは、主要国・地域における医療機器の売上高の推移を示したものです。このグラフからも、米国市場の規模の大きさが見て取れます。一方、日本市場のシェアは約5%にとどまっており、米国との差は歴然です。さらに、近年急速な成長を見せる中国をはじめとした新興国にもシェアを奪われつつあるのが現状です。

かつて高い技術力で世界市場を牽引してきた日本の医療機器産業ですが、グローバル競争の激化に伴い、厳しい状況に置かれていると言えるでしょう。この状況を打開するためには、革新的な技術開発に加え、国内外の厳しい安全基準をクリアし、海外市場への展開も視野に入れた戦略が求められています。

日本の医療機器市場 輸入依存の現状
日本市場においては医療機器の輸入超過が継続

※厚生労働省『「令和5年 薬事工業生産動態統計年報」の公表について』を元に株式会社グリーンメディカルが作成

上図からわかるとおり、2023年度の日本の医療機器市場では、国内で作られた製品よりも、海外から輸入された製品(最終製品など)の割合の方が大きい状況です。具体的には、国内生産が23%に対し、輸入は28%。輸出は10%にとどまり、国内で使用される医療機器において、輸入依存の傾向が見られます。

近年、グローバルな競争が激しさを増す中で、日本の医療機器産業も、国際競争力強化に向けた取り組みが求められています。AIやIoTを活用した医療機器などの革新的な技術開発や、アジアなど成長市場への展開が、今後の成長の鍵を握ると考えられます。

医療機器業界の国内市場における現状

一時期、大手電機メーカーが安定した収益源を求め、医療機器市場に参入するというニュースが話題となりました。しかし、現在の国内医療機器市場は、輸入依存の状態が続いています。では、国内メーカーの勢力図に変化はあったのでしょうか?この項目では、各社の動向を詳しく見ながら、国内市場の現状を分析します。主要企業のシェアや製品戦略、今後の事業展開などから、市場の行方を読み解いていきます。

大手電機メーカーの相次ぐ撤退

かつて安定収益源を求め、大手電機メーカーが相次ぎ医療機器に参入しました。しかし近年、日立は画像診断事業の一部を、東芝は医療機器子会社を売却。パナソニックもヘルスケア事業を縮小するなど、撤退・縮小の動きが目立ちます。背景には、研究開発に時間と費用がかかり、各国の規制も厳しい医療機器ビジネスの特殊性があります。電機メーカーの主力事業とのシナジー効果が見えにくい場合、業績悪化時に事業整理の対象となりやすいのです。

オリンパスと提携するソニーは内視鏡事業を継続するものの、全社売上に対する医療機器事業の貢献は限定的です。大手電機メーカーの相次ぐ撤退は、国内市場の勢力図を大きく変えつつあります

国際市場を視野においたM&Aの成功事例

世界的に競争が激化する医療機器業界で、日本メーカーのM&Aが活発化しています。中でも富士フイルムは、2021年の日立画像診断事業買収で、製品ラインナップ、技術、販売網を強化しました。このM&Aは大きなシナジー効果を生み出し、診断領域で確固たる地位を築くことに成功しています。

またオリンパスも海外企業買収により、前立腺肥大症の低侵襲治療に用いられる製品を獲得し、泌尿器科領域での事業拡大を進めています。M&Aは、日本企業がグローバル市場で勝ち残るための重要な戦略となっています。

画像診断領域に強みのある日本のメーカー

日本の医療機器メーカーは、X線撮影、CT、MRI、血管撮影といった画像診断領域で、世界的に高い競争力を持っています。この分野では、長年培ってきた技術の蓄積や、国内の医療機関との密接な連携などが強みとなっています。特に国内市場では、キヤノンと富士フイルムの2社が、画像診断領域で大きなシェアを占めています。両社とも、カメラや写真フィルムで培った光学技術や画像処理技術を応用し、高性能な医療機器を開発・提供することで市場を牽引しています。

一方、複合機大手のリコーも、脳計測機器の事業を取得するなど、医療機器分野に参入しています。
しかし、近年は、事業の主軸をデジタルサービスへとシフトしており、今後の医療機器事業については不透明な状況です。国内市場では、画像診断領域を中心に、日本メーカーが強みを発揮している一方、企業によって戦略や状況は大きく異なっています

在宅医療の普及と医療機器のニーズについて

日本では、高齢化の進展に伴い、在宅医療のニーズが高まっています。厚労省の推計によると、在宅患者数は2040年以降にピークを迎えると見込まれています。しかし、在宅療養を支える診療所の数は近年ほぼ横ばいで、在宅医療の普及は十分とは言えません。在宅医療が進まない理由の一つとして、医師や看護師など、医療従事者のマンパワー不足が挙げられます。訪問診療や看護は、移動時間や個別対応が必要となり、多くの人手を要するからです。

このマンパワー不足を解消し、在宅医療を推進するためには、医療機器の活用が不可欠です。例えば、患者の状態を遠隔でモニタリングできる機器や、患者自身や家族が簡単に操作できる医療機器などが普及すれば、医療従事者の負担を軽減し、より多くの患者が在宅療養を選択できるようになるでしょう。医療機器メーカーには、在宅医療のニーズに応える製品開発が期待されているのです。

在宅・訪問医療が抱える問題と医療機器の必要性

日本の高齢化が進む中、慢性疾患の治療やリハビリなど、継続的なケアを必要とする患者が増加しています。またコロナ禍をきっかけに、感染リスクを避けて自宅で診察や治療を受けたいというニーズもこれまで以上に高まっています。一方で先ほどお伝えした通り、在宅医療の現場でも医師や看護師などの人手不足が深刻で、患者や家族の負担が増えているのが現状です。

こうした課題を解決する上で、大きな役割を果たすと期待されるのが医療機器です。具体的には、患者の血圧や心拍数などを自動で測定し、データを医療機関に送信する遠隔モニタリングシステムや、自宅で簡単に使える小型の検査機器、痛みの少ない注射器などが挙げられます。これらの機器の普及は、在宅医療の質を向上させるだけでなく、医療従事者の負担軽減にもつながります。

家庭用治療機器・健康管理機器のトップメーカー

家庭用治療機器には、コンタクトレンズ、補聴器、家庭用電気治療器などがあります。マッサージチェアで知られるフジ医療器はこの分野で高いシェアを誇っています。一方、健康管理機器とは、日々の健康状態をチェックするための機器で、電子体温計、電子血圧計、活動量計などが代表的です。電子体温計では、オムロンやテルモなどが長年、多くの人に使われています。

新しい在宅医療機器の開発は、世界的に見ると米国が先行しています。しかし、スマートフォン連携の血圧計や睡眠計、遠隔診療システムなど、デジタル技術を活用したデジタルヘルス機器の分野では、日本企業も負けていません。オリンパス、テルモ、シスメックスは高い収益性を誇ります。また、富士フイルムヘルスケアは高い成長性が期待されており、これらの日本企業はグローバル市場でも存在感を示しています。

医師の働き方改革に伴う医療機器特別償却制度

2024年4月から、医師の働き方改革を推進するための新制度が始まりました。その一環として、医療機関が新たな医療機器を導入する際に、税制上の優遇措置が受けられる「医療機器特別償却制度」が適用できるようになりました。通常の減価償却費に加え、設備取得の初年度に追加で特別償却費を計上できるため、医療機関の初期費用負担を軽減にも役立ちます。

対象機器は、医師の労働時間短縮に効果があると認められた、一定の基準を満たす高額な医療機器です。例えば、手術支援ロボットや、AIを搭載した画像診断装置などが該当します。ただし、新品の医療機器が対象であり、中古品は対象外となります。この制度により、医療機器の導入が促進され、医師の労働時間短縮、ひいては医療の質向上に貢献することが期待されます。

グリーンメディカルは法に準拠しメーカー整備・点検を徹底

医療技術の進歩は目覚ましく、新しい医療機器が次々と開発されています。それに伴い、まだ十分に使える機器が中古市場に流通し、中古医療機器の市場も活況を呈しています。中古医療機器は、使用済み、または包装開封済みの未使用機器で、保守点検・修理によって品質、有効性、安全性を確保できるものです。そのため中古医療機器には医療法に基づくルールがあり、業者には保守点検が義務付けられ、安全性が担保されています

私たちグリーンメディカルは法規制を厳守。お客様に安心してご利用いただくため、納品前に必ず医療機器メーカーによる徹底した点検整備を実施しています。この医療機器メーカーによる点検整備費用は販売価格に含まれており、透明性のある価格設定を心がけています。法に準拠し、環境にも配慮した、高品質な中古医療機器をお探しなら、ぜひ当社までご相談ください。

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まとめ:中古医療機器の流通による国内市場の活性化

今回は医療機器業界の国内外の動向、国内市場の勢力図、在宅医療ニーズ、そして中古医療機器の役割を解説しました。米国が市場を席巻し、新興国が台頭する中、日本は独自の強みを持つ画像診断領域で存在感を示す医療機器メーカーもあれば、撤退を余儀なくされる企業も。国内市場では輸入が国内生産を上回る状況が見られ、変化の時を迎えています

加えて高齢化とコロナ禍は、在宅医療という新たな潮流を生み出しました。この流れの中で、中古医療機器をはじめとする医療機器による課題解決が急務となっています。中古医療機器の活用は医療の質と効率を高め、資源を有効活用し、日本の医療の未来を支える新たな選択肢となるはずです

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中古医療機器のトータルサプライヤー
株式会社グリーンメディカル
高度管理医療機器等販売業・賃貸業許可  第4501081100012号
医療用具専業修理業許可番号  27BS6167
古物商認可番号 東京都公安委員会  第301060407418号
古物商認可番号 大阪府公安委員会  第622311406757号
古物商認可番号 愛知県公安委員会  第541161309600号
古物商認可番号 福岡県公安委員会  第901021810091号
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